梅毒は世界史上例を見ない早さで全球規模に広がった感染症で、かつては今のような進行に数年かかる弱毒性ではなく数週間で死に至る強毒性の病気でした。

江戸時代の遊郭では性病として非常に有名で、容貌が変わることに加えて死に至るため非常に恐れられていた病気です。

しかしながら現在はペニシリンのような抗生物質による治療法が確立されたため先進国では恐怖が薄れています。

ですが、現在の日本では年々感染者が増加していることもあり注意が必要な病気です。

梅毒とは

梅毒は、昔は不治の病として恐れられていた性病ですが、治療薬となるペニシリンが発見されて以降は、早期の治療によって完治するようになりました。

梅毒は慢性の感染症で、何年もかかって症状が進行し、症状は、3週間後、3ヶ月後、3年後と時期によって変化し3ヶ月すると、目立った症状はなくなりますが、梅毒の病原体は体の中で広がっていき、10年程度経過すると、心臓、血管、脳など重要な器官にも影響を与えます。

放置すると、心臓や血管が侵されて心不全を起こしたり、脳や脊髄が侵され、麻痺や精神錯乱を起こして死亡します。

梅毒に感染すると、HIVにも感染しやすくなるので注意が必要です。

先天梅毒などの母子感染は、赤ちゃんが死亡したり奇形になったりすることがあります。

感染経路

オーラルセックスを含む性行為によって感染し、皮膚に傷があると血液を介して感染します。

具体的には、セックス、オーラルセックス、アナルセックスなどあらゆる性行為で感染し、アナルセックスでの感染が特に多いと言われています。

感染した母体から出産時に赤ちゃんにうつることもあり先天梅毒といいます。

感染源

梅毒は、トレポネーマという病原菌によって感染します。

病原菌は、皮膚や粘膜の小さな傷から侵入し、血液に入って全身に広がります。

第1期~第2期梅毒の時期は、粘膜や皮膚の病変部分に大量の菌が含まれているため、他の人への感染率が高くなります。

第3期~第4期は皮膚に菌が少なくなるため、感染率は下がります。

梅毒の症状

症状は次の3つの段階で現れ、治療をしなくても症状は消えますが、病気は進行しじわじわと体の中に広がっていきます(潜伏梅毒)。

第1期(性的接触後1~12週)(感染して約3週間後)

感染後、3週間程度で性器とか口の感染した場所に赤く硬いしこりやただれができ、足のつけ根やワキの下、首のリンパ節などが硬く腫れます。

赤みを帯びた腫れ物は硬性下かんといいますが病原体の侵入した体の部分に現れ、性器に出ることがふつうです、時には口や肛門にも認められます。

性器、口、肛門、手指などの感染箇所にできたしこりは、軟骨の硬さ程度のしこりで、小豆から人差し指の先程度の大きさです。

その後、しこりの中心部が盛り上がり、太ももの付け根にあるリンパ節が腫れますがしこりに痛みはなく、放置しておくと2~3週間で消えます。

第2期(性的接触後1~6ヶ月)(感染して約3ヵ月後)

病原菌が血液に入り、全身に広がり感染後3~12週ぐらいたつと、梅毒の病原体が血液の中に入って体中にまわり、頭痛、関節痛、発熱、倦怠感、皮膚に赤色のぶつぶつができます。

全身の皮膚や粘膜に、できたブツブツや発疹はバラ疹と呼ばれ、胸や背中、手足に赤い大小さまざまな斑点が出ますが、早期の発疹は小さく、全身の左右対称に出てくるのが特徴で、足の付け根や脇の下、首などのリンパ節が膨大します。

その他、リンパ節の腫れや脱毛症状などが現れ、症状は3ヵ月から3年ほど続きますが、自然に消え、その後しばらくは、無症状の時期が続きますが、後で赤い斑点や痛みが再発することもあります。

第3期(性的接触後3年)(感染して約3年以上)

体調の良い時期が続きますが、皮膚や内容で病状は静かに進行し第3期梅毒になると、心臓や血管がおかされて、血が流れにくくなったり、脳がおかされて、錯乱したり、麻痺(まひ)したり、痴呆になったりします。

この時期には、皮膚組織に大き目のしこりができま、結節性梅毒疹やゴム腫などと呼ばれています。

皮膚や内臓にできたゴム腫と呼ばれる症状が出ると関節炎が起こり、手足の感覚が喪失し、心臓や血管、脳、脊髄が侵され、身体各部の機能不全や痛みが起こります。

第4期梅毒(感染して約10年以上)

心臓、血管、神経、目などに障害が出ます。

具体的には、神経症状、進行麻痺、痴呆症状、歩行障害、心血管症状、大動脈瘤、大動脈弁閉鎖不全などが現れます。

検査

梅毒の性病検査には、男性の場合、梅毒の病原体を顕微鏡で観察する方法と、血液検査があります。

このうち、病原体である梅毒トレポネーマを分泌液の中から顕微鏡で確認する方法は検査が困難であり、検出率も低いのであまり行われていません。よって、梅毒検査のほとんどは血液検査ということになります。

血液検査で行われる検出法は2通りあり、それぞれSTS法とTP抗原法と呼ばれています。

どちらも梅毒の病原体によって血液中に生じる抗体を調べる検査です。なので、感染後しばらくしないと検査をしても感染を確認できないという欠点があります。

まずSTS法ですが、梅毒の病原体によって生じるカルジオリピンの抗体を調べる検査です。

抗体の出現が感染後2週間から4週間と早いため、早期発見をすることができる検査です。梅毒の治療を終えた後、完治しているかどうかの判定にも用いられます。

ただ、梅毒の病原体から直接生じる抗体を調べる検査ではありません。よって、誤検出による陽性反応が出ることがあり、梅毒には感染していない慢性肝炎や妊婦の方からも陽性反応が出る場合があります。

次にTP抗原法ですが、これは梅毒の病原体から生じる抗体の有無を調べるものです。

梅毒の病原体から直接生じる抗体なので、偽の陽性反応が出ることがほぼなく、確実な検査ができます。欠点は抗体が出現するのが感染後6週間から12週間と遅いことで、感染の確認が遅れます。

また、この抗体は感染後に梅毒が完治してもずっと血液中に残るため、一度梅毒に感染した人はずっと陽性反応が出ることになります。

よって、治療後に完治しているかどうかを判定する検査には用いることが出来ません。

血液検査や患部からとった膿の検査を行います。

しこりとかただれているところを綿棒でこすって、梅毒の病原体がいるかどうかを検査したり、血液をとって、梅毒に対する反応をみます。

予防と治療

予防は、コンドームをエッチの最初から最後まできちんとつけることで、勃起したらすぐにつけましょう。

治療には抗生物質が用いられ、完治を確かめるため、医師の指示に従ってその後も受診することが必要です。

治療は、医師が処方した薬(抗生物質)をきちんと数週間飲むことによって治ります。